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スクラムネット メールマガジン

  • Date: Fri, 9 Jun 2017 18:00:01 +0900 (JST)

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メールマガジン スクラムネット No.61
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【配信元】福井県発達障害児者支援センター スクラム福井 




【もくじ】
1..... リレーエッセイ
名古屋大学医学部附属病院
親と子どもの心療科
鈴木 太 先生 先生 より

2..... 保育士のための事例で考える発達障害児へのワンポイント

3..... セミナー・研修会などの案内

4..... その他のお知らせ



◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆



6月に入って、
もうすぐ梅雨の時期ですね。
この時期は湿度が高くジメジメしたり、
日中は暑くても、
朝などは寒かったりするので、
ストレスなく過ごせるよう
過ごしやすい服装に気を付けていきたいですね。


それではメールマガジン スクラムネット、
61回目のリレーエッセイは

名古屋大学医学部附属病院
親と子どもの心療科
鈴木 太 先生 より
お送りさせていただきます。


◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆



【リレーエッセイ】

名古屋大学医学部附属病院
親と子どもの心療科
鈴木 太


「児童精神科医のつくりかた。」



児童精神科医は不足しています。

どこで不足しているのかというと、
世界中で不足しているようです。

国際児童青年精神医学会
International Association
for Child and Adolescent Psychiatry and Allied Professions
 (IACAPAP) が発行している児童青年精神医学の教科書によると、
児童や青年の8割は
公式な児童青年精神医学の訓練を受けたことがある専門家が
いない地域に住んでいます。

米国では、
児童青年精神医学の研修システムが既に確立していますが、
いまだに、児童精神科医は不足しているらしく、
大都市以外の地域ではより顕著ということでした。


先進国であり、経済大国である日本でも、
児童精神科医は不足しています。

発達障害者支援法(平成16年法律第167号)第19条では
「都道府県は、専門的に発達障害の診断及び
発達支援を行うことができると認める病院又は
診療所を確保しなければならない。」と定めています。
しかし、
総務省が平成29年1月20日に発表した
「発達障害者支援に関する行政評価・監視」では、
専門的医療機関27機関のうち、
約4割の医療機関において、50人以上の子どもが
初診の診察を受けるのを待機しているという状況でした。

児童相談所は、
子どもを守るための「最前線」にある行政機関ですが、
恩賜財団母子愛育会の調査によると、
常勤の児童青年精神科医が在籍している児童相談所は
全体の9%に過ぎません。


米国の研修システムが高度に体系化されていることは、
姫路市立発達医療センターの田宮聡先生、
京都大学の岡野憲一郎先生など、
米国で研修された先生方が指摘されています。

一方、
私達のような、日本の児童精神科医が受けてきた研修は、
良く言えば自由、悪く言えば放任です。

今から9年前に、
東京で行われた第104回日本精神神経学会学術総会で、
シンポジウム「児童精神科医の育成,現状と課題」が開催されました。
少しずつ、研修を行う施設の「量」は増えてきたとはいえ、
肝心の研修の「質」については、
国内では、まだ、十分な議論がなされているとは言いがたい状況です。



私は、
福井大学子どものこころの発達研究センターへの
本年9月からの転任のお話をいただき、
その準備を進めています。
その過程で、
杉山登志郎先生からご指導をいただきながら、
私的・公的に国内の諸先生方と議論し、
児童精神科医にとっての最適の研修について、検討してきました。

今のところ、私は三つのポイントがあると考えています。
(1)医師としての児童精神科医、
(2)精神療法家としての児童精神科医、
(3)社会の中の児童精神科医です。




1. 医師としての児童精神科医

まず、
児童精神科医は医師です。
つい先日、私はあるお母さんとこんな会話をしました。


お母さん 「ここは、精神科なのに、採血をするんですか!?」
筆者  「そうですよ。私は、採血をする、珍しい児童精神科医なのです。」

精神科医は採血をあまり指示しませんが、
多くの児童精神科医も同様です。
しかし、James Morrison 先生が
「When Psychological Problems Mask Medical Disorders
: A Guide for Psychotherapists」で指摘しておられるように、
甲状腺機能低下症、脳腫瘍、てんかん
といった身体疾患は子どもの頃から認められ、
青年期になると、片頭痛なども鑑別診断に含まれます。
鉄欠乏性貧血、むずむず足症候群、摂食障害なども、
この年代のお子さんでは珍しくありません。

これらの身体疾患は、
特に発症から間もない頃、身体的な異常所見が乏しく、
プライマリケアを担っている、地域の小児科医や精神科医から
「発達障害の疑い」として紹介されてくることもよくあります。
身体疾患には精神療法の効果が乏しく、
片頭痛やてんかん以外は
向精神薬に分類される薬剤が使われることはほとんどありません。
身体疾患をスクリーニングして、本来の診療科に差し戻すことは、
児童精神科医の重要な業務の一つです。
つまり、
児童精神科医を志す医師は
「精神障害や発達障がいのように見える」身体疾患を診断するスキルに
長ける必要があります。



2. 精神療法家としての児童精神科医

ごく一部の薬剤を除くと、
児童青年精神医学では、最も効果のある治療は精神療法です。
数分間程度の短い診療時間で提供される「ピンポイントの」アドバイスから、
自閉症に対するLovaas法のように
一週間に40時間面接するような高コストのものまで、
精神療法にはさまざまなバリエーションがあります。

私が大阪市立大学で学んでいた頃、
飛谷渉先生、永田利彦先生といった、
オリエンテーションの異なる、熟練の精神療法家から
それぞれ教えをいただく幸運に恵まれました。

当時、
公式の研修プログラムといったものはなく、
それぞれの先生方のご厚意で、
勉強会が開かれていた記憶があります。

永田利彦先生の元では、
Linehanの
「Skills Training Manual for Treating Borderline Personality Disorder」や、
GarnerとGarfinkelの
「Handbook of Treatment for Eating Disorders, 2nd edition」の抄読会が行われ、
これらのマニュアルやハンドブックを邦訳して使用していました。

その後、これらの書籍は、
正式な翻訳権を得た別のグループが
「弁証法的行動療法実践マニュアル」
「摂食障害治療ハンドブック」として出版したようです。

名古屋大学に赴任してからは、
原井宏明先生、岡嶋美代先生、
白川美也子先生、James Lock先生に導かれて、
行動療法、動機づけ面接、
Trauma Focused Cognitive Behavioral Therapy、
Family-based Treatment of Adolescent Anorexia Nervosaを学ぶ機会を得ました。
最近では、
永田利彦先生と共に
「Interpersonal Psychotherapy for Depressed Adolescents, 2nd edition」の邦訳を
「思春期うつ病の対人関係療法」として出版し、
Lock先生の「Treatment Manual for Anorexia Nervosa
: A Family-Based Approach, 2nd edition」の邦訳を
複数の大学との共同作業として出版準備中です。

精神療法のスキルは、
短時間の面接を重ねるだけでは上達しにくいものですが、
スーパーヴィジョンを受けながら定型的な面接を行うことで、
十分に熟練した治療者は、面接時間を短縮できるようになります。
児童精神科医を志す医師それぞれが精神障害を正確に診断し、
最も有効な治療法を選択し、
自らもそれを行えるようになるために、
私達は精神療法を深く学べる研修体制を構築する必要があります。



3. 社会の中の児童精神科医

「不登校」という用語を初めて使われた児童精神科医である清水將之先生は、
最近のインタビューで
「本来、児童精神科の臨床というのは、
医療、保健、福祉、教育の4つの領域が積み重なったうえに成り立つものです。」と
述べておられます。

精神障害や発達障害を伴う子どもは、
大学病院を受診するだけではなく、
さまざまな臨床場面で支援を求めます。
重要なことは、
このメールマガジンの前号で、杉山登志郎先生がご指摘されたように、
それぞれの場面で、典型的な診断、併存症、社会的背景といったものは
大きく異なっているということです。
大学病院、総合病院、精神科単科病院、児童精神科クリニック、
情緒障害児短期治療施設、児童相談所、精神保健福祉センターなど、
多様な施設での研修を経験することによって、
児童精神科医の診療能力は、より高まっていくと考えられます。


今から数年のうちに、福井のあちらこちらで、
私達の元で研修を受けた児童精神科医が活動を始めると思います。
地域の皆様からのご指導をいただき、
福井の地域医療の充実、内外での人材の活躍を進められればと、念じております。
今後とも、宜しくお願い申し上げます。




◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆



【保育士のための事例で考える発達障害児へのワンポイント】

続いてお送りするのは
保育士のための事例で考える発達障害児へのワンポイントです。

園でのいろいろな活動のなかで、
保育士さんたちが気がかりになることも多いと思います。
具体的な支援法を身につけるために、
さまざまな事例を学習して取り込んでいくことも大切です。

以下事例を参考に、少しでもお役にたてていただければと思います。



Q:手をつなぐのを極端に嫌がる子がいます。
そのうち慣れるだろうと思って
優しくつなごうとするのですが、
すぐに振り払われてしまいます。

一方で
子どもの方から手をつないでくることがありますが、
握りかえすと途端に拒否されてしまいます。

保育者だけでなく
お友達とつなぐのも嫌がります。

家庭でも同様で、
保護者も大変つらい思いをしているようです。
園内でも検討しましたが、
どうして嫌がるのか原因がつかめないので
対応に苦慮しています。


A:手をつなぐのを嫌がられると、
園でお散歩に出たりする際の安全面での心配の他にも、
日常の保育の場面やイベントでお遊戯をする時など、
さまざまな場面で対応に困ることが出てきますよね。
原因と対応策については、
以下のことが考えられるかと思います。


まずは、
「手をつながれるのに悪いイメージがあるのではないか」
ということです。

自分の行きたいところへ行くのを静止されたり、
やりたいことを止められる時に
手をつかまれたり
つないだ手を放してもらえなかったりした経験が重なり、
本人の中で「手をつなぐ=嫌なこと」と
思い込むきっかけになってしまったのかもしれません。


対応としては、
手をつなぎながら歌を歌ったり
しりとりなどの言葉で出来る遊びをしてみたりして、
ただ手をつないでいる状態から楽しく注意をそらしつつ、
少しの間でも手をつないでいられたら
いっぱい褒めてあげることで、
「手をつなぐ=楽しい」と
イメージを上書きしてあげてください。

手をつないでいられる時間が延びるようになったら、

お散歩中に通る建物をゴールに設定して
ゲーム感覚でトライ
↓
できたらまた褒めてあげる

のを繰り返すのも良いかと思います。



また、
移動中に手をつなげない場合には、
一緒なペースで動く練習から始めてみてはどうでしょうか。

まず、
行動の主導権を子どもに持たせます。
子どものペースに合わせてついて行くことを繰返し、
一緒に動くことを嫌がらないようになったら
「手をつないでね」と
予告して手をつないでみます
(ただし、
危険な行動をしそうな場合は止めて下さい)。

段々と慣れてきたら、
子どもが動き始める前に
保育者が子どもの行きたそうな場所を提案して、
保育者側に主導権を戻していきます。

次第に、手をつなぐこと自体は
自分のやりたいことを阻まれる嫌なことではないと
理解が進んでいき、
手をつなぐことを嫌がらなくなっていくかと思います。



もう一つは、感覚過敏の可能性です。

手に感覚過敏があると、
ごく軽くつないだつもりでも
本人にとっては「痛い」と苦痛を感じるほど敏感なケースや、
相手の手の温度や手汗による湿り気などが苦手ということも考えられます。

この場合、
少しずつ触ることから始めて
徐々に慣らしていくと出来るようになることもありますが、
本能的な防衛反応が過剰に働いている子の場合
(自分からは手をつなぎに行くことはできるのに
こちらからだと拒否することが多いです)には、
慣れるという事はなく
逆効果になってしまいますので、
注意深く観察をしてみてください。

「手をつなぐ」ことにこだわらず、
代替え手段として、手以外のところを握ったり
保育者の鞄・ベルト等を持つようにしたり、
物(リングやおもちゃ等本人が好むもの)を間にはさんで、
お互いの手が直接触れないようにする方法を
取るのもよいかもしれません。


防衛反応を緩やかにする手立てとしては、
子どもに触覚を意識的に使わせる
(何が触れたのかを考えさせることで、
本能的な反応をする前に
「今触れたものは何だろう?」と
識別→認知する反応を促す)
遊びを取り入れると良いでしょう。

例えば、
手触りや形の違うおもちゃなどを見せてから
袋の中に入れて何が入っているのか当ててもらう
(もしくは指定したものを取ってもらう)遊びなどは
楽しんで取り組めるのではないでしょうか。

遊びのアイディアについては
保育士のみなさんの得意分野だと思いますので、
園内でいろいろと検討してみてくださいね。




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【セミナー・研修会などのご案内】

それでは
今後開催予定のセミナー・研修会予定の情報について
お知らせいたします。



○ちち☆ははサポートクラブ
スクラム福井では、
発達障害のお子さんを育てられている親御さんたちの集まりを
定期的に開催いたしております。

日ごろのお子さんの様子や子育ての悩み、
保育所や学校のことなどを語り合う場を提供し、
親御さんの仲間づくりのお手伝いができれば・・・
と思っています。


主催:福井県発達障害児者支援センター スクラム福井

平成29年
6月14日(水):鯖江(アイアイ鯖江)
6月21日(水):越前(越前市健康福祉センター)
6月24日(土):小浜(サン・サンホーム小浜)
6月27日(火):あわら(あわら市保健センター)
6月30日(水):南越前(人材育成支援センター)
7月7日(金):福井(福井市保健センター)
7月12日(水):敦賀(あいあいプラザ)
7月13日(木):大野(結とぴあ)
9月13日(水):敦賀(あいあいプラザ)
9月14日(木):勝山(すこやか)
9月15日(金):福井(福井市保健センター)


参加・ご利用時間は10:00〜12:00までのお時間となります。
(南越前会場のみ9:30〜11:30までのお時間予定です。)

※詳しい内容は詳細決まり次第
スクラム福井HP ちち☆ははサポートクラブ
に掲載する予定です。




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【その他のお知らせ】

○「就コミュ」のご案内

就コミュ! は
インターネット上で
職場でのさわやかなコミュニケーションのポイントを
遊びながら学ぶサイトです。

国立青少年教育振興機構「子どもゆめ基金助成活動」の
助成を受けて
日本設備管理学会 就労支援技術研究会にて
開発されたサイトです。

ゲームの主人公の立場で、
就職活動や職場でのコミュニケーションを疑似体験できます。
どのような話し方が相手に好印象を与えるか、
考えながらチャレンジしてみましょう。

就コミュのサイトは
http://www.syucom.org/ をごらんください。



○MRI検査の母とお子様の協力者を募集
福井大学子どものこころの発達研究センター
(福井大学医学部附属病院)では、
子育て中の『お母さん』か?
意図せす?とも発揮している『脳の働きの不思議』を
MRI検査で調へ?る脳科学研究への参加者を募集しています。 

※詳しくは http://tomoda.me/resources/Youikunou_MRI_recruit.pdf を
ごらんください。



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発行 福井県発達障害児者支援センター スクラム福井
お問い合わせ info@scrum-fukui.com
ホームページ http://scrum-fukui.com/
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