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スクラムネット メールマガジン

  • Date: Fri, 5 May 2017 18:00:01 +0900 (JST)

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メールマガジン スクラムネット No.60
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【配信元】福井県発達障害児者支援センター スクラム福井 




【もくじ】
1..... リレーエッセイ
福井大学子どものこころの発達研究センター
児童青年期こころの専門医育成部門
福井大学医学部附属病院 子どものこころ診療部 
杉山登志郎 先生 より

2..... 保育士のための事例で考える発達障害児へのワンポイント

3..... セミナー・研修会などの案内

4..... その他のお知らせ



◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆



ゴールデンウィーク真っ只中ですね。
皆さんいかがお過ごしでしょうか。

今日はこどもの日です。
お子さんの幸せを願い、
ご家族同士お互いに
感謝し合える一日となりましたでしょうか。

「いつもありがとう」と伝えるのは
ちょっぴり恥ずかしいかもしれませんが、
しっかりと言葉にして
気持ちを伝えたいですよね。


それではメールマガジン スクラムネット、
60回目のリレーエッセイは

福井大学子どものこころの発達研究センター
児童青年期こころの専門医育成部門
福井大学医学部附属病院 子どものこころ診療部 
杉山登志郎 先生 より
お送りさせていただきます。


◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆



【リレーエッセイ】

福井大学子どものこころの発達研究センター
児童青年期こころの専門医育成部門
福井大学医学部附属病院 子どものこころ診療部 
杉山登志郎


「貧困と発達障害」


ある知り合いの国際的な神経科学者から、
著名な某先生があなたを評して、
「優れた臨床家だったが、
最近は虐待で発達障害が起きるなどということを言っているので、
われわれは迷惑している」と批判していた、とうかがった。

私としては
「今さら何を言っているのか」という感想が上がってくるが、
きっと診療をしている子どもたちの層が違うのだろうとも考えた。


最近も大学病院に勤務する優秀な児童精神科医の友人が
「自分は虐待の症例をほとんど経験していない」と発言をしたのに
衝撃を受けたばかりである。

大学病院と、
私が臨床を続けている浜松市子どものこころの診療所とでは、
訪れる患者の層が明らかに違う。

大学病院では、
相対的に、発達障害と子ども虐待の掛け算症例の割合は
減ってくるのだろう。

ただあくまで相対的なもので、
いまや
発達障害臨床に従事していて、
それに絡んだ子ども虐待の症例に出会わないことなど
無理なのでは無いかと
私には思えるのであるが。



その証拠にというか、
この友人から先日紹介されてきた母子がいた。

母親は大学の厳密な診断スクリーニングを経て
成人ADHDという診断を受けて
抗多動薬による治療を既に受けていたが、
こちらへの紹介の理由は、
発達障害診断が下されているそのお子さんの治療が難儀をしているので、
子どもへの治療をしてほしいということであった。



一見上品な、
普通の若いお母さんと賢そうな子どもの母子である。

この母子への問診で、
母親が虐待のサバイバーであることが明らかになった。

その後、
普通の会社員の男性と結婚して
家庭を築いているのであるが、
母親自身、単なるADHDではなく、
少なくともそれに解離と躁うつが生じていた。

紹介してきた友人の医師は、
このことをすっかり見落としていたのだ。

指や腕に、
ハートや四角の小さな入れ墨が
すぐに見て取れるにも関わらず。

医師の側にその可能性が浮かばなければ、
見えてこないのである。



この母子例には後日談がある。

トラウマ系の患者さんにしばしば見られるように、
治療は有効に進んでいるのに、
この母子はドタキャンとドタカムを繰り返していたのだが、
先日、
久方ぶりに母子で来院された。

この春先の不調で
起き上がれなくなったらしく、
今日は絶対に行かなくてはダメと
子どもに促されて来院したのであるという。

お母さんは、
首の後ろが凝ってしまっていて、
首が動かないという。

そこで
置針を彼女の一番凝っている首筋の部分に貼った。

置針とは
零点何ミリかの極小の針がついたテープで、
痛い部位に貼るのだが、
皮膚を切らないので消毒がいらない。

トラウマ系の臨床をしていると、
この手の慢性疼痛には良く出会うので、
こんな医療外サービスもしばしばするようになったのである。


その折りに、
服の上からちらり見えた彼女の背中には
極彩色の彫り物が施されていた。

私の感想。
「これじゃあ、子どもと一緒に温泉に行けないじゃないか」。

私はスペアの置針を1−2本あげた。

次の外来日、
珍しく予定通りに来院した彼女は、
開口一番「この間の針を下さい」と言ったものだ。
(余計な補足:「セーリン」というメーカーから
この置針は発売されていて、
インターネットで取り寄せることができる。)


我が国は高度成長期以後のしばらくの間、
社会階層というものを余り意識しないでも良い時代が続いた。

しかし、とりわけリーマンショック以後、
世界の資本主義と共に新自由主義へ突き進んで行く中で、
われわれは社会格差という問題に
再び向かい合わなくてはならなくなった。

子どもの貧困という問題も、
ようやく社会の注目を集めるようになった。


私は貧困が発達障害に結びつくことなど、
ごくごく最近まで予想もしていなかった。

臨床で出会う親子は大体こんな形になる。

母子家庭の場合には、
親がなまじ働くと生保のサポートを受けていた時より
より生活が困窮してしまう。
さらに非正規雇用で、長時間労働を余儀なくされるため、
子育ては手抜きにならざるを得ず、
子どもへの親のケアが滞らざるを得ない。

その中で、子どもは非行か不登校が生じやすい。

このどちらも必死で働く親の足を引っ張ることになる。

それから母子家庭の場合には、
突然に現れたボーイフレンドに振り回されるということがよく起きる。

父子家庭の場合は、
子どものケアを担ってくれる身内の存在がないと、
やはり長時間労働のためにネグレクトが生じやすい。

子どもの側は(実は父親も)、
お母さんからの見捨てられという強烈な体験があり、
これにネグレクトが加わると
難治性の抑うつが生じる。

結果として、
思春期頃になると長期にわたる不登校が生じやすい。



そもそも
貧困の中で余裕無く働き続けている状況は、
子そだてに必要なゆとりを削ってしまう。

親子とも、
過度の緊張の中で共に抑うつが起きやすいのである。

親に抑うつが起きれば
子どもへのネグレクトが加算される。

子どもの側の抑うつは不登校という形を取り、
基本的学力の保障のままならない状況を作りだす。

ちなみにこの親も子も、
抗うつ薬の服用は無効どころか
気分変動を引き起こすなど、
マイナスに働くことが少なくない。



こうした子どもたちが親の世代になると、
社会的保障のための書類作成、そして申請すら、
保健師やソーシャルワーカーがつきっきりになって
やっと可能といったことが起きる。

それに加えて、
社会的経験の欠落、被害念慮、迫害念慮、気分変動を抱える。

これはなるほど「発達障害」である。



鈴木大介という人の「最貧困女子」(幻冬舎新書2014)という本には
沢山の発達障害の症例が登場するが、
その様な親子例は
私も最近、臨床の場で良く経験をするようになった。


某県から浜松市にDVを避け、
一時的に避難し治療を開始した母子である。

親は信じられない量の多剤大量処方を受けており、
子どもの側も不登校である。

親の側は時間をかけて少しでも薬を減らし、
子どもの側は可能な社会的サポートを受けることが出来るように
クリニックのソーシャルワーカーが世話をした。

一時的であったはずの滞在が
そのまま伸びている。

こんなに優しい過ごしやすい町はないという。

しかしながら、
某県はこと福祉に関してはもっともっと進んでいる地域のはずである。

この母子は、
これまで請求できる社会的保障をほとんど受けずに来たのだ。

はらはらしながら治療を行う親子を
こうしてまた抱え込むことになる。
児童精神科領域の臨床はソーシャルワークである。

新自由主義は、
人に、子どもに、幸福をもたらさないことが
はっきりしてきたのではないだろうか。

さらに限られた狭い範囲の場所や人が繁栄を得たとしても、
その代償に他の人や地域が貧困に沈めば、
そこからは新たな不安定化の要因が時には国境をまたいで起きてくる。

翻って、
我が身を振り返れば、
科学や学問におけるグローバリズムも
また
きちんとした哲学的思索の支えがなければ、
恐らく人に幸福をもたらすものではなくなるのだろう。



世の様相は底辺からみるとよく見える。
われわれがこれからスタートさせる臨床部門が、
もっとも貧しく弱い立場の子どもとその親に寄り添える臨床を、
きちんと実践する場になることを願ってやまない。




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【保育士のための事例で考える発達障害児へのワンポイント】

続いてお送りするのは
保育士のための事例で考える発達障害児へのワンポイントです。

園でのいろいろな活動のなかで、
保育士さんたちが気がかりになることも多いと思います。
具体的な支援法を身につけるために、
さまざまな事例を学習して取り込んでいくことも大切です。

以下事例を参考に、少しでもお役にたてていただければと思います。



Q:絵本読み聞かせの場面で
じっとして静かに聞いていられないA君に
B君が怒ってトラブルになります。

どう対応していったらよいでしょうか



A:今回の出来事は、
A君が園の中でなかなか集団生活がとれず、
先生が注意を繰り返していて、
まわりの子ども達もイライラしてしまい
トラブルになってしまうという、
よくあるパターンのトラブルの1つです。


まず、A君の特性から、
その背景にある事柄をかんがえてみましょう。


1. A君自身、
絵本の読み聞かせに対する興味があまりないのかもしれない。

2.刺激に弱く、
注意がそれてしまう特性があるのかもしれない。

3.絵本の読み聞かせの後の活動の見通しが立たないことで
落ち着かないのかもしれない。

4.じっと座っている姿勢を維持することが辛いのかもしれない。




これらの背景から工夫を考えてみることにします。


・Aくんの興味のあることは何なのか、
紙芝居のように視覚的にも注目をひきやすい工夫を考えてみる、
または、
絵本をめくる係りをお願いするなどはどうでしょうか。

・A君が知りたい情報を
あらかじめ明確に知らせておく工夫も大切です。
読み聞かせの時間をタイムタイマーでお知らせすることや
時計を示して分かりやすくしておくことも良いと思います。

・座る場所も
椅子やクッションの工夫、
ビニールテープの利用の工夫で、
一人一人のスペースを視覚的に分かりやすく提示してあげてください。




また、
B君のことも配慮が必要です。

ルールに厳格なB君は
A君の落ち着きのない行動が気になってしかたがないのです。

ルールを守ろうとするB君をきちんと褒めて評価し、
気になってしまう時の対処方法について相談することも大事です。

お集まりの時間は、2人の位置関係に気を配り、
先生がさりげなく、壁になってあげたりするとよいでしょう。

一人一人の子どもたちは、
毎日の園での生活を100%がんばっています。
ぶつかり合うことも多々あるなかで、
人とのかかわりの楽しさと難しさを学ぶ初めてのステージです。

焦らず、
先生同士も声を掛け合って支え合いましょう。




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【セミナー・研修会などのご案内】

それでは
今後開催予定のセミナー・研修会予定の情報について
お知らせいたします。



○ちち☆ははサポートクラブ
スクラム福井では、
発達障害のお子さんを育てられている親御さんたちの集まりを
定期的に開催いたしております。

日ごろのお子さんの様子や子育ての悩み、
保育所や学校のことなどを語り合う場を提供し、
親御さんの仲間づくりのお手伝いができれば・・・
と思っています。


主催:福井県発達障害児者支援センター スクラム福井

平成29年
5月10日(水):敦賀(パラレル)
5月11日(木):勝山(すこやか)
5月19日(金):福井(福井市保健センター)
6月14日(水):鯖江(アイアイ鯖江)
6月21日(水):越前(越前市健康福祉センター)
6月24日(土):小浜(サン・サンホーム小浜)
6月27日(火):あわら(あわら市保健センター)
6月30日(水):南越前(人材育成支援センター)
7月7日(金):福井(福井市保健センター)
7月12日(水):敦賀(あいあいプラザ)
7月13日(木):大野(結とぴあ)
9月13日(水):敦賀(あいあいプラザ)
9月14日(木):勝山(すこやか)
9月15日(金):福井(福井市保健センター)


参加・ご利用時間は10:00〜12:00までのお時間となります。
(南越前会場のみ9:30〜11:30までのお時間予定です。)

※詳しい内容は詳細決まり次第
スクラム福井HP ちち☆ははサポートクラブ
に掲載する予定です。




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【その他のお知らせ】

○「就コミュ」のご案内

就コミュ! は
インターネット上で
職場でのさわやかなコミュニケーションのポイントを
遊びながら学ぶサイトです。

国立青少年教育振興機構「子どもゆめ基金助成活動」の
助成を受けて
日本設備管理学会 就労支援技術研究会にて
開発されたサイトです。

ゲームの主人公の立場で、
就職活動や職場でのコミュニケーションを疑似体験できます。
どのような話し方が相手に好印象を与えるか、
考えながらチャレンジしてみましょう。

就コミュのサイトは
http://www.syucom.org/ をごらんください。



○MRI検査の母とお子様の協力者を募集
福井大学子どものこころの発達研究センター
(福井大学医学部附属病院)では、
子育て中の『お母さん』か?
意図せす?とも発揮している『脳の働きの不思議』を
MRI検査で調へ?る脳科学研究への参加者を募集しています。 

※詳しくは http://tomoda.me/resources/Youikunou_MRI_recruit.pdf を
ごらんください。



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発行 福井県発達障害児者支援センター スクラム福井
お問い合わせ info@scrum-fukui.com
ホームページ http://scrum-fukui.com/
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